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2017.01.31
2017年1月4日 改正商標審査及び審理基準の公布
本年1月4日に、国家工商行政管理総局により改正商標審査及び審理基準が公布されました。今回の改正により、音声商標審査基準、審査意見書の運用基準、商標法第10条(使用が禁止される商標)の審査基準、商標法第15条2項(冒認出願の禁止)の審理基準、商標法第19条4項(商標代理機構)の適用基準、商標法第50条(失効後一年間の出願禁止)の適用基準、利害関係者の認定基準、等が補充または改正されています。特に重要と思われる補充・改正点は以下の通りです。
審査意見書の運用基準
審査意見書制度は、2014年の改正商標法で新設されましたが、これまであまり適用例はありませんでした。今回の改正により、以下の場合等に適用されることとなり、今後は適用される事例が増えると予想されます。
・外国の国名、国際組織の名称等と同一又は類似するが、当該国の政府又は当該国際組織の同意を得ている商標。
・使用により識別力を有するに至った商標。
・識別力を欠く構成要素を有する商標であるが、商標の修正によって当該拒絶理由を解消できる商標。
商標法第15条2項の適用基準
同条2項は、他人の商標が先使用であることを明らかに知っていながら冒認出願することを禁止する規定として、2014年の改正商標法で追加されました。今回の改正により、「先使用」とは、冒認出願の前に、中国で販売、宣伝、又は上市のための準備を行っていたことを意味するものであり、使用によって一定の影響力を有していることを証明する必要はないとされ、先使用商標の知名度を要求しないことが示されました。
商標法第50条の適用基準
同条は、登録商標が取消、無効または未更新による満了で失効した場合、取消、無効又は満了の日から1年以内は、同一又は類似の商標の登録を認めないことを規定していますが、今回の改正により、以下の場合には同条は適用されないことが明示されました。
・前権利者と同一出願人による商標出願には適用されない。
・先行商標が三年不使用取消で取り消された場合には適用されない。
尚、今回の改正商標審査及び審理基準は、改正前に出願された商標にも適用されます。
(商標部 研壁)