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2017.08.17
中国弁護士・中国弁理士・日本国弁理士
張 華威
2017年7月5日、「司法ビッグデータ特別報告書」が中国最高人民法院の公式ホームページに発表された(以下、単に「本報告書」という)。本報告書は、最高人民法院が設立した公式の研究機関である司法ビッグデータ研究院及び司法判例研究院により作成されているため、信頼性があり、参考価値が高い。
なお、2017年4月27日に最高人民法院から「中国法院知的財産司法保護状況(2016)」が発表されたが、侵害訴訟に特化されるデータではない。一方、本報告書は、2015年1月1日から2016年12月31日までに中国全土における人民法院で終結した知的財産権侵害事件をサンプルとして統計している。
以下、本報告書の概要について紹介する。
2015年の全国の人民法院における知的財産侵害訴訟の既済件数は5万件程度であったが、2016年には7万件を超え、対前年比41.34%増となった。
専利権侵害事件のうち、特許権、実用新案権、意匠権の三種類の専利権の比率をグラフ3に示す。
知的財産権侵害事件は、広東省、北京市、浙江省で最も多く発生している。
知的財産権侵害渉外事件において、28か国もの外国企業が当事者となった。特に、アメリカ、フランス、ドイツの三カ国の企業が多くみられた。
知的財産権侵害事件の平均周期は105日間であるが、専利権侵害事件とソフトウェア関連著作権侵害事件は平均周期を上回る傾向がある。なお、専利権侵害事件のうち、特許権侵害事件の平均周期は200日間弱、実用新案権侵害事件の平均周期は150日間強、意匠権侵害事件の平均周期は150日間弱という結果となった。
被告の人数の内訳をグラフ4に示す。
(判決で終結した事件のうち)原告の請求が全部認容された事件は全体の7.93%であり、請求が全部棄却された事件は7.13%であり、一部認容の事件は84.9%であった。
以上