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2018.01.19
中国弁護士・中国弁理士・日本国弁理士
張 華威
2017年12月7日、世界知的所有権機関(WIPO)は、年間レポート「World Intellectual Property Indicators 2017」を発表した。
公式URL: http://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_941_2017.pdf
当該レポートによれば、2016年の全世界の特許出願件数は約312.8万件に達し、7年間連続で増加した。全世界の特許出願件数の増加が約24万件(対前年比8.3%増)であるのに対し、中国の出願件数の増加は約23.6万件であり、全世界の増加分の約98%を占めることとなった。
国別の特許出願件数をみると、上位5カ国の特許庁は、中国国家知的財産権局(SIPO)が約133.9万件、米国特許商標庁(USPTO)が約60.6万件、日本特許庁(JPO)が約31.8万件、韓国特許庁(KIPO)が約20.9万件、欧州特許庁(EPO)が約15.9万件である。上記五大特許庁の出願件数は合計で約263.1万件であり、全世界の出願件数の約84%を占める。中国の出願件数は、五大特許庁の総出願件数の過半数となっているが、そのうち外国企業による出願は全体の約10%しかないことが以下のグラフからわかる。
国別の特許出願件数および外国企業による特許出願の割合
中国の出願件数がこのように爆発的に伸びている背景として、国の補助金・奨励金・ハイテク企業認定などの政策が考えられるが、権利行使の容易化や損害賠償額の引き上げなどに伴い、侵害訴訟の件数も著しく増加し、知財係争リスクが日々高まっている。今後、競争の激しい中国市場で生き延びていくためには、数量および品質の両方において強力な権利取得が必要となってくると思われる。
以上。