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2018.04.24
1.改正の概要
(1)法第32条の2の追加
意匠の登録要件(新規性及び産業上の利用可能性)を規定する法第31条(*1)中の文言を以下のように定義する法第32条の2が追加されます。
(i)独立に創作され:
意匠登録出願の日又は優先日の前に他に同一の工業意匠が公知となっていないときであっても、重要ではない細部のみが異なる工業意匠は同一の意匠と見なされる。
(ii)著しく異なっている:
当該意匠が当業者に対して作り出す全体的な印象が、意匠登録出願の日又は優先日の前に公知である他の工業意匠によって作り出される全体的な印象と、工業意匠における創作者の創作水準に鑑みて異なる。
*1:「…公知の意匠又は公知の意匠の特徴の組合せとは独立に創作されかつそれらとは著しく異なっている意匠は新規とみなされる。…」
(2)法第33条の改正
改正前は意匠が使用される製品の種類を記載することが求められていましたが、改正後は意匠が使用される製品を記載しなくてはなりません。
(3)意匠権の保護期間
改正前は意匠登録出願の日から15年間でしたが、改正後は意匠登録出願の日から5年間で、5年間毎の更新登録により最長25年間の保護期間が与えられることになりました(法第36条)。
更新登録は権利期間満了の前の6月の間に意匠権者によって請求されなければならず、6月の猶予期間が与えられます(新たに追加される法第36条の2)。
(4)出願公開制度の導入
改正前は登録となった時にのみ登録工業意匠が公開されていましたが、改正後は係属する工業意匠出願は方式審査の通過後速やかに公開されることになりました(新たに追加される法第37条の2)。
2.法改正過渡期の取り扱い
法改正過渡期の取り扱いについては以下のように規定されています。
(1) 係属中の工業意匠出願について、改正法の施行日(2018年4月27日)から30営業日以内(すなわち、2018年6月11日まで)に書面による申請を提出することで改正法の適用を受けることができます。
(2) 改正法の施行前に登録されている意匠権については、出願日から15年の日に権利が満了しますが、5年間毎に2回の更新登録が可能となります(すなわち、出願日から最長25年間の保護期間を得ることができます)。更新登録は権利期間満了の前の6月の間に意匠権者によって請求されなければならず、6月の猶予期間が与えられます。なお、改正法の適用を受けるための特別な手続きは必要なく、15年の権利期間満了前に更新登録(年金納付)の手続きをとることで、改正法が適用されます。
(3) 改正法の施行日以降に出願される全ての工業意匠出願は改正法の適用を受けます。
(記事担当:特許第2部:桂)