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2018.05.21
“産官学連携のNext Stageへ” – 企業の研究開発パートナーとして大学・公的研究機関の魅力を高める
最初のセッションでは「産官学」のうち、主催者である2大学を含む「学」から4名のパネリストが登壇して、従来とは異なる産業界への新しいアプローチを各々披露した。『シーズよりニーズ』をキーワードに企業側の幹部に積極的にアプローチ。『御用聞き』という大阪的な言葉を敢えて使って意識改革を促すなどの工夫。大学側の研究資金調達と企業側の新規事業開発、両者の必要性を一層合致させるオープンイノベーション時代の到来を垣間見た一幕であった。
パネルセッション 2
“進歩する企業の知財マネジメント” – 他社特許リスクから事業を防衛するオプション
替わってセッション 2 では、事業会社3社とパテントアグリゲーター1社が登壇。まずはアグリゲーターが近年の環境変化、即ち出願件数の増加とそれに伴う品質低下の問題、そしてNPE訴訟の最新動向を駆け足で解説。続いて事業会社パネリストが各社それぞれの立場から、知財リスクをどう認識し、どのような取組みを行っているかをプレゼンした。話題が防衛の為また事業推進の為に行う権利売買の是非に及んだ際には、日本企業パネリストの「売る際には変な使われ方をしないよう細心の注意を払う・・・これは日本的な考えかもしれませんが」との発言に対し、米国人モデレーターが「決して日本企業だけではありませんよ」と返して会場を沸かせる。最終的には、価値の高い特許に対してはリスペクトを持って接するが、質の悪い権利による訴訟リスクは低く見るべきではない。アメリカ特許制度の見直しが必要だ・・・との意見で一致を見た。
パネルセッション 3
“規格必須特許プールと特許の質” – ライセンスを取得する企業における規格特許プールライセンスの恩恵
最終セッションでは、事業会社2社を含む4名がステージに上がる。到来間近のIoT時代に備えて、標準必須特許(SEP)プールライセンスを利用する際に慎重に検討すべき事項について議論がなされた。特に、本セッションで登壇した事業会社は2社ともコンシューマー製品が主力の製造業であり、規格の使用の面からは「川下」ユーザーに当たる。そのような企業にとっては、多数のライセンス契約を交渉・締結する工数を省くためのプールライセンスの有用性は理解しつつも、SEPとしてプールに含まれる特許を本当に使用しているのか自らは判断しかねるところ。また将来的に、デバイスの搭載が要求される対象製品群が拡大していくのは当然予想されることであり、全ての製品群に対して一方的に一律のライセンス料支払いを求められるのはビジネス的な限界もあり納得がいかない。ライセンス料に上限を設定したり、ケース・バイ・ケースで決めるための、中立的な認定機関設置の必要性を強く訴えておられたのが印象に残った。
(営業推進部 柏原)