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2018.06.13
2018年6月12日 ハイヒールのレッドソールに関するEU司法裁判所判決
本年6月12日、EU司法裁判所(最高裁に相当)は、「旧欧州商標指令第3条1項e(iii)は、ハイヒールのソールに塗られた色を構成要素とする標章は、形状のみを構成要素とする標章ではないという意味に解釈されなければならない」と判示しました。
フランスの高級婦人靴のデザイナーであるクリスチャン・ルブタン氏(Christian Louboutin)は、レッドソールのハイヒールで有名ですが、レッドソールの色と形状を構成要素とするベネルクス登録商標の商標権者です。
オランダのシューズ・チェーン店であるヴァン・ヘーレン・シェーネン(Van Haren Schoenen )が、靴底が赤いハイヒールを販売していたため、ルブタン氏はヴァン・ヘーレン・シェーネンに対して商標権侵害でオランダの裁判所に訴訟を提起しました。
2016年に改正される前の旧欧州商標指令第3条1項e(iii)では、「商品に本質的な価値をもたらす形状(shape)のみを構成要素とする標章は登録できない」と定めています。オランダの裁判所は、EU司法裁判所に対して、この旧欧州商標指令の解釈に関する判断を求めていました。
EU司法裁判所では、当該規定の「形状(shape)」には「形状および色」の組み合わせは含まれないと解釈すべきかが審理され、ルブタン名義のレッドソールの色と形状を構成要素とするベネルクス登録商標の有効性を直接認定した訳ではありません。
今回のEU司法裁判所の判決により、EU域内では、「形状および色」の組み合わせのみで構成されている標章は、商標として登録可能であることが示された意義は大きいといえます。詳細は判決文をご参照下さい。
注:今回の判決では、EU司法裁判所は旧欧州商標指令の解釈を示したことに留まるため、今後はオランダの裁判所が、ルブタン名義のベネルクス登録商標の有効性について最終判断を下すことになります。
(商標部 研壁)