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2018.08.16

【特許・意匠ニュース】 インドネシア、特許実施義務に関する施行規則を公表

2019/06/04更新

インドネシア法務人権省は、特許実施義務に関する施行規則を公表しました。概要は以下の通りです。

【概要】
– インドネシア特許法第20条によれば、特許権者は、インドネシア国内において、特許を受けた物を製造または特許を受けた方法を使用する義務(以下、実施義務)を負う。
– 実施義務を特許付与から36ヶ月以内に果たさない場合にはの違反は、強制実施権の根拠(同法第82条)や裁判所での特許取消理由(同法第132条)となり得る。
– 今回の規則により、特許権者は、実施義務の延長免除を申請可能となった。
延長免除申請は、特許付与から3年以内に、理由書とともに、インドネシア法務人権省に対して行わなければならない。
– 実施義務の延長免除期間は、延長の決定の日特許付与から最長5年間で、理由書の提出により延長可能とされている。またこの延長期間は、理由があれば申請により更に延長することができる。
– 規則の施行日は、2018年7月11日。
適用対象や実際の手続きの詳細は現段階では明確ではない。

* 2019年3月19~20日に行われた、上記施行規則に係るNational Seminarにおいて、適用対象、延長申請の提出期限、延長申請に際する必要書類が公表されました。そこで旧法下で(2016年8月26日より前に)付与された特許も適用対象であること、そのような特許についての延長申請の提出期限は2019年8月26日であることが説明されました。

【背景】
2016年8月26日の特許法改正により、インドネシアへの技術移転、投資、および雇用創出の促進を目的として、実施義務が強化された。具体的には、実施義務の除外規定(旧法第17条(2))が削除され、実施義務違反が特許取消理由として追加されている。このことが各国の政府や団体からの反対を招き、実施義務を緩和する今回の規則に至っている。

【現状】
今回の規則の適用対象について、規則上は明確ではありませんが、少なくとも旧法下で(2016年8月26日より前に)付与された特許には適用されない、との見解が複数のインドネシア代理人から得られています。すなわち、免除申請期限は、最も早くて2019年8月26日ということになりそうです。
インドネシアでは、これまで、実施義務に関する訴訟事例はなく、また、不実施を理由とする強制実施権が発動されたこともないようです。現行法では、実施義務違反を理由とする特許取消訴訟は、検察官又は国益を代表する者が提起可能とされていますが、誰が「国益を代表する者」になり得るかという点については明確な情報がありません。
また、今回の規則に基づく実施義務の免除申請について、どのような理由であれば免除が認められるかについても、明確な情報は得られていない状況です。

弊社では、本件について、引き続き情報収集および調査を進めて参ります。

(参考)
特許権者による特許の実施に関する規則15/2018
http://dgip.go.id/images/ki-images/pdf-files/uu-pp/permenkumham-paten-15-2018.pdf

Baker and McKenzie
Indonesia: Draft Presidential Regulation on Implementation of Patents by Patent Holders
https://www.bakermckenzie.com/en/insight/publications/2017/09/indonesia-draft-presidential-regulation

Rouse
Article 20 of the New Patent Law in Indonesia
https://www.rouse.com/magazine/news/article-20-of-the-new-patent-law-in-indonesia
Indonesia’s Controversial Patent Implementation Rules are Enacted
https://www.rouse.com/magazine/news/indonesias-controversial-patent-implementation-rules-are-enacted

(記事担当;特許第1部 高橋、特許第2部 桂

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