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2018.10.23

【中国視察2018】 [3] 国家知識産権局復審委員会

NGBはクライアント企業7社(8名)のご参加を得て、9月3日 (月) – 7日 (金) の日程で中国視察ツアーを催行した。 本稿では復審委員会との交流の模様を抜粋してご報告する。
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[体制・動向説明]
国家知識産権局復審委員会は、中国特許出願の復審(日本で言う拒絶査定不服審判)および中国特許の無効審判を取り扱う行政機関である。国家知識産権局(CNIPA、元SIPO)の局長が、この復審委員会の委員長(主任)を兼任している。

2012年から2017年の復審ならびに無効審判の新受件数・結審件数と所要期間を以下に示す。
これらの統計データからは復審委員会が、特に復審・無効審判いずれも2015年以降、多くの案件を短い期間で処理していることが伺える。審理期間を短くするために、早くできる案件を優先的に処理し、そうでない案件を別に取り扱っている。また、審判の当事者は中国各地にある巡回審理廷からインターネットを通じてリモート審理を行うことができる。このように、手続きフローの最適化、審理の効率化に取り組んでいるとのことであった。また、社会的な影響が比較的大きい事件に関しては、一般社会から傍聴者を集め、管理監督をしてもらうなど、行政手続きの透明性を確保するための取り組みも行っているとのことであった。

以下、参加者からあげられたご質問ならびに復審委員会の回答を、一問一答形式でご報告する。

[質疑応答]
Q:早くできる案件を優先的に処理するという説明だったが、無効審判を優先的に処理するか否かは、委員会側が決めるのか。当事者側が申請することもできるのか。

A:優先審理という制度を設けていて、当事者側が申請することができる。またPPHを請求した案件についても優先処理されるようにしている。優先審理を受けるためにはいくつか条件がある。一つは、エコや新しいエネルギーなどの技術分野に関するか否か。もう一つは、既に侵害訴訟が提起されている専利権に関する無効審判か否か、ということだ。優先審理を受けることができた場合、復審の場合は7ヶ月くらい短縮することができる。無効審判の場合は既に早いのだが、特許または実案については5ヶ月くらいに、意匠について4ヶ月くらいに短縮できる。

Q:無効審判の件数が増加しているようだが、それは特許侵害訴訟の増加に関係しているのか。

A:侵害訴訟が増えていることが一つの原因になっていると思われる。それ以外にも企業の権利意識が高まっていることと、産業が発達したことが影響しているのだろう。侵害訴訟に関連する無効審判の比率は、特に統計はとっていないが、かなり多いのではないかとの印象を持っている。

Q:特許侵害訴訟を提起され、カウンターとして無効審判を提起する場合、侵害訴訟は並行して進むのか。それともホールドされるのか。

A:侵害訴訟をホールドするか否かは、裁判所の裁量となる。特許が無効になる可能性が低いと裁判所が考えた場合は、そのまま侵害訴訟を進める。しかし無効審判は5ヶ月で終わり、侵害訴訟は1年間くらいかかるので、ホールドしなくても先に審決が出ることになる。

Q:復審において審査意見通知書が発行される。1回だけでなく、審決に至る前に2回目や3回目の審査意見通知書が出る場合もあるが、審査意見通知書が発行される回数はどのように判断されるのか。

A:法律的には1回の審査意見通知書で全ての問題を指摘しなければならない。ただ、補正をした場合や新しい拒絶理由を発見した場合、審決を出すと出願人にとって不利益となるので、新しく審査意見通知書を出さなければならないと考えている。

Q:(無効審判ではなく)復審において、審判官とインタビューをしたり、出願人が出廷してヒアリングの機会を設けて頂くことは可能なのか。

A:審査指南の中の規定によれば、復審案件でも、出願人が口頭審理をしたい場合は、応じることができる。口頭審理をしたケースもあるが、非常に割合が少ない。

(特許第1部 増位)

復審の新受件数・結審件数と所要期間
無効審判の新受件数・結審件数と所要期間

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