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2019.07.19

【特許・意匠ニュース】ブラジル、特許審査バックログ減少のための新たな試み(予備庁指令)

1.背景
 近年、ブラジル知的財産庁(INPI)は、他国特許庁との特許審査ハイウェイ(PPH)の開始、対応外国出願における審査結果を利用した“予備審査庁指令プログラム(Pre-examination Office Action Program)”の施行等により、特許審査のバックログを大きく減少させました。しかしながら、バックログは依然として重大な問題であり、その新たな解決策として、“予備庁指令(Preliminary Office Action)”と呼ばれる通知を発行するようにしました(Resolutions 240/19及び241/19)。
 INPIは今後2年の間に少なくとも80%の特許審査バックログを解消し、特許審査期間を24月未満に短縮することを計画しています。

2.予備庁指令(Preliminary Office Action)
 予備庁指令には、
 対応外国出願において他国特許庁により行われた調査結果を有する特許出願に対して発行される通知(code 6.21 Resolution 241/19により制定)と、
 そのような調査結果を有しない特許出願に対して発行される通知(code 6.22 Resolution 240/19により制定)との2種類があります。
 これら通知は以下の条件を満たす特許出願を対象として発行されます。
I. 実体審査に着手されていない
II. 審査促進が請求されていない
III. 第三者又はブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)による申立を受けていない、及び
IV. 2016年12月31日以前に出願された特許出願

 前記code 6.21の予備庁指令の発行は2019年7月23日から開始され、INPI審査官は追加の先行技術調査を行わず、他国特許庁で挙げられた先行技術を単に出願人に通知します。これに対し、出願人は90日以内に補正及び/又は反論を提出し、先行技術に対する特許性を主張する機会が与えられます。
 前記code 6.22の予備庁指令の発行は2019年8月6日から開始され、INPI審査官により先行技術調査が行われる以外は前記code 6.21の予備庁指令と同様です。
 出願人が90日以内に補正及び/又は反論を提出しない場合、特許出願は取り下げとなります。

3.補足情報
 予備庁指令に対する応答としては、対応外国出願において認可となった請求項に一致させる補正を提出することで、認可を得る可能性が高まります。
 しかし、この際に提出する補正は、ブラジルの法律、規則等の要件に沿ったものである必要があり、例えば減縮補正であること(すなわち、請求項の範囲を拡張又は変更する補正はできないこと)等に留意する必要があります。

(参考)
Resolution 240/19:
http://www.inpi.gov.br/menu-servicos/patente/arquivo-legislacao/Resoluo2402019publicada.pdf
Resolution 241/19:
http://www.inpi.gov.br/menu-servicos/patente/arquivo-legislacao/Resoluo2412019publicada.pdf

(記事担当:特許第2部 桂)

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