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2019.10.18
主な改正点は以下の二点です。
・早期審査制度の拡充(規則24C(1))
改正前、早期審査を請求できる出願人は、国際調査機関または国際予備審査機関としてインド特許庁が指定された国際出願の出願人(規則24C(1)(a))、および特定の条件を満たすスタートアップ企業(同(b))に限られていました。
今回の改正により、早期審査を請求できる出願人の条件が追加されました(規則24C(1)(c)~(j))。追加された条件には、出願人が中小企業、女性、または政府系機関である場合や、他国特許庁との間の取決めに基づく場合等があります。特に、他国特許庁との間の取決めに基づく早期審査は、日本とインドの間のPPH(※2)を想定していると考えられます。
・書類の電子的提出(規則6(1A))
この規則は、書類を電子的に提出することを義務付けています。改正前、原本の提出が求められる書類は、そのスキャンデータを電子的に提出してから15日以内に原本を提出することも義務付けられていました。この「原本の提出が求められる書類」には、委任状、譲渡証等が含まれます。
今回の改正で、「原本の提出が求められる書類」という記述が無くなり、原本の提出が求められた場合には15日以内に提出しなければならないこととなりました。したがって、改正により書類提出の要件が緩和されたと考えられます。ただし、「15日以内に原本が提出されなかった場合、その書類は提出されなかったものとみなす」との規定は依然として残っておりますため、注意が必要です。
(※1)インドでは、2019年5月31日にも特許規則の改正案が公表されていますが、こちらはまだ施行されておりません。この改正には、優先権書類の翻訳文提出についての規則21(2)および(3)の改正、ならびに特許発明の実施に関する陳述書(Form 27)についての規則131(2)およびそのForm 27の形式の改正が含まれています。
(※2)日本とインドの間でPPH試行開始に大筋合意したことが2018年9月に公表されています。当初は2019年度第一四半期に試行を開始することが予定されていましたが、未だ開始には至っていません。
(参考)
インド特許庁、プレスリリース
http://www.ipindia.nic.in/writereaddata/Portal/News/569_1_The_Patent_Amendment_Rules_2019_.pdf
http://www.ipindia.nic.in/writereaddata/Portal/News/233_1_publicNotice_18May2016.pdf
日本国特許庁、プレスリリース
https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180920002/20180920002.html
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/japan_india_highway.html
(記事担当:特許第2部 平林)