【特許・意匠ニュース】ドイツ連邦憲法裁判所、UPC協定批准のための法律は無効との決定

2020.03.23

【特許・意匠ニュース】　ドイツ連邦憲法裁判所、UPC協定批准のための法律は無効との決定

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2020年3月20日、ドイツ連邦憲法裁判所は、2017年3月31日にドイツ連邦議会で採択された「統一特許裁判所（UPC）の協定を批准するための法律」を無効とする決定を公表しました。

今回の決定は、上記採択と同日の2017年3月31日にデュッセルドルフの知財弁護士であるDr. Stjerna個人により提起された違憲申立に対する決定であり、主権移譲を伴う法律の制定に必要とされる議員の３分の２以上の多数に基づく議決を経ていない点が憲法裁判所によって認められています。

違憲申立では、上記の立法プロセスの違反の他、UPCの組織の規制権力、UPC裁判官の独立性と民主主義上の正当性、EU法との整合性に関する争点も含まれていました。しかし、これらの点については根拠不十分を理由に認められていません。

したがいまして、UPC協定批准のための法律が議会での正式なプロセスを経て再度採択されれば、憲法裁判所によって今回問題とされた点は解消されることになります。

とはいえ、UPCの実現は依然として前途多難であり、実現するとしても少なくとも数年はかかると言われています。

イギリスは、2020年1月末のEU離脱に続き、2月末にUPC不参加を表明しています。これにより、裁判所の一部をロンドンに設置するなど、イギリスの参加を前提としているUPC協定そのものの見直しの必要性が一段と高まっています。

さらには、新型コロナウイルスの影響で、当面は、欧州各国がUPC実現に向けて協調するムードにはならないことが予想されます。

弊社では引き続きUPCの今後をモニタリングしてまいります。

参考
ドイツ連邦特許裁判所
2020年3月20日、プレスリリースNo. 20/2020、Act of Approval to the Agreement on a Unified Patent Court is void
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/EN/2020/bvg20-020.html