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2020.07.01

【商標NEWS】 ”Made in Italy” を守れ! イタリア、歴史的商標の特別保護を開始

イタリア国内で、長年、製造・販売・提供されてきた商品や役務の商標を歴史的商標 (historical trademark / marchio storico)と呼び、特別な保護を与える制度が、本年4月16日よりスタートしています(2020年4月7日発行官報)。 50年以上のイタリア商標登録維持、または使用が条件で、権利者情報、使用証拠、宣誓書等をもって特許商標庁に申請を行い、審査を経て、登録、却下が決定されます。歴史的商標に登録されれば、権利期間が無限となり、更新出願が不要になる他、認定商標であることを示す特別ロゴ(右写真参照;画像はイタリア経済開発省サイトより)を宣伝等に使用することが可能になります。一方、登録後に、当該商標に係る商品・役務の製造・販売・提供を止める場合や、生産拠点をイタリア国外に移す場合は、その理由や財務情報等を事前に特許商標庁に報告することが必要で、多額の罰金が生じることもあります。申請に際しては、メリット、デメリットを踏まえ、イタリアで事業を継続していく覚悟が必要と言えるでしょう。
コロナ対策として立ち上がった施策ではありませんが、イタリア伝統産業に国内での生産と雇用を維持してもらうための知財面からのサポートとなるか、注目されます。一般的な著名商標制度とは違い、イタリア国内企業に向けられた制度であるため、日本の出願人が利用することはできません。しかしながら、ブランド大国であるイタリアのユニークな取り組みは、他国におけるブランド保護施策にも、何らかの示唆を与えるのではないでしょうか。

既に、多くの申請がなされており、審査中となっていますが、出願情報等は今のところ公開されていません。歴史的商標登録第1号となるブランドは?その発表が待たれます。

(商標部 関口)
(情報提供 伊Studio Torta 事務所)

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