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2020.09.23
本記事では、特許、実用新案に関して、新法にて新たに導入された内容について、主なものをご紹介します。医薬・農薬関連法規については、別記事にてご紹介します。
○先行技術において開示された物質や化合物、組成物に関する用途発明が認められる旨、明記されました(新法第45条I.)。
○発明者等から直接的にまたは間接的に情報を入手した第三者の開示行為に、いわゆる新規性喪失の例外が適用されます(新法 第52条)。新規性喪失の例外の適用範囲は、旧法では、発明者等が開示する行為に限定されていましたが(旧法第18条)、新法では、発明者等から直接的にまたは間接的に情報を入手した第三者の開示行為にも拡大されました。
○親出願である分割出願において単一性要件を満たさないとメキシコ産業財産庁が認める場合以外では、分割出願に基づく分割出願を禁じる規定が設けられました(新法第100条)。
○特許出願が係属中(ただし、認可通知を受けた場合はその日から2か月以内、すなわち登録料支払期間)であれば、自発的に分割出願をすることを可能とする旨が明記されました(新法第102条)。
○分割出願は原出願と異なる主題を含むものでなくてはならない旨、明記されました(新法第100条II.)。
○特許期間の調整に関する制度(いわゆるPatent Term Adjustment, PTA)が導入されました(新法第126~136条)。メキシコ産業財産庁に起因する不合理な審査遅延により、出願日から特許が付与されるまでの期間が5年以上となった場合、一定の要件のもと、出願人等は特許期間の調整(最大で+5年の調整)を申請することができます。
○薬事承認申請を行うためのデータ収集を目的として、特許権者等以外の第三者が、特許にかかる製品を使用、製造、販売の申出または輸入する行為には、当該特許権の効力が及ばない旨(いわゆるBolar条項)、規定されました(新法第57条II.)。旧法の特許権の効力が及ばない範囲についての規定(旧法第22条)に、今回、薬事承認申請を行うためのデータ収集を目的とした行為に関する規定が追加された形になります。
○実用新案権の権利期間が出願日から10年であったところ、15年に延長されました(新法第62条)。
(参考)メキシコ連邦広報誌
https://www.dof.gob.mx/nota_detalle.php?codigo=5595761&fecha=29/06/2020
https://www.dof.gob.mx/nota_detalle.php?codigo=5596010&fecha=01/07/2020
記事担当:特許第2部 牛島、木下