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2021.12.24

特許部 齋藤 俊之

【特許・意匠ニュース】 意匠の国際登録に関するハーグ協定の共通規則の改正

2021年10月4日から同8日までジュネーブにおいて開催されたハーグ同盟総会において共通規則の第5規則、第17規則、第21規則および第37規則の改正が採択されました。2022年1月1日より、ハーグ協定に基づく国際意匠登録出願(以下「ハーグ出願」)に関し、改正された共通規則が施行されます。改正内容について、以下の通り案内します。

1. 期間遵守における遅延の免責(第5規則)
共通規則の第5規則の改正によって、「不可抗力(force majeure)」による期間の不遵守(遅延)に対する免責が明示されました。「不可効力」の例として、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が挙げられています。

2. 国際登録の公表(第17規則および第37規則)
2021年現在のハーグ出願では、標準公表期間は6か月とされていて、国際登録日から6か月後またはその後速やかに公表されています。出願人が標準公表期間での公表を希望しない場合には「即時公表」もしくは「公表延期」を請求することが可能です。ただし出願時の指定国に公表延期を認めていない国(米国やロシアなど)を含む場合には公表延期は認められません。このため、出願人が早期の公表を望まない場合に、公表延期を認めていない国を指定国とするハーグ出願が利用しにくい状況となっています。
今回の改正によって、2022年1月1日以降に出願されるハーグ出願の標準公表期間が6か月から12か月に延長されます。すなわち、公表延期を認めていない国を指定国とする場合であっても、12か月間は非公表にできるようになり、ハーグ出願を利用できる機会が増えることが期待されます。
さらに、国際公表前であればいつでも早期公表を請求できることも明示されました。現在の規則では原則として出願時に請求した公表延期期間が経過した後に公開されますが、改正後は公表延期期間の途中であっても早期公表を請求できるようになるため、より柔軟に公表時期を調整することが可能になります。

3. 所有権の変更の記録(第21規則)
共通規則の第21規則の改正によって、国際登録の所有権の変更手続きが簡便化されます。国際登録の新たな所有者は、名義変更の十分な証拠を提供することによって、従前の所有者の署名がなくとも、名義変更の記録を請求できるようになります。

(参考)
・特許庁 共通規則の改正(2022年1月1日)
https://www.jpo.go.jp/system/design/hague/kisoku/wipo_1999kaisei_220101kaisei.html
・共通規則改正に伴うハーグ同盟総会文書H/A/41/1(英文)
https://www.wipo.int/edocs/mdocs/govbody/en/h_a_41/h_a_41_1.pdf

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