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2022.07.21
特許部 大串聡
2022年6月29日、米国特許商標庁は、Public Pairを2022年7月31日に廃止することを発表しました*1。
2022年8月1日以降、同様の機能は、Patent Center(https://patentcenter.uspto.gov/)にて利用可能です。
Patent Centerは、Public Pair の機能と、Electronic Filing System-Web(EFS-Web)の機能を統合させたシステムで、2017年にリリースされました。現在、米国特許商標庁は、これらのシステムをPatent Centerに集約させようという動きを見せており、Public Pairの廃止はその一環です。
また、現在、米国特許商標庁に対して電子出願システムを通じて出願を行う場合、PDF形式またはDOCX形式で出願することが可能ですが、2023年1月1日以降に出願されるDOCX形式ではない非仮出願(35 U.S.C. 111に基づくNonprovisional Application)に対しては、追加料金が課されることとなっています。ここで、追加料金が課される対象となる非仮出願は、通常の米国出願、継続出願(PCT出願に基づくバイパス継続出願を含む)、および分割出願であり、PCT出願に基づく米国移行出願は対象外です。しかし、後述するように、現在までのところDOCX形式での出願はあまり積極的に利用されてはいないのが実情のようです。これは、DOCX形式で出願するにあたっては、DOCXファイルを米国特許商標庁のシステム(EFS-WebまたはPatent Center)にアップロードしますが、この際に文字化け等の予期せぬエラーが起こり得ることが懸念されているためです。これらの事情を鑑み、現在、米国特許商標庁は、2022年12月31日までの暫定的な処置として、DOCXファイルとともに、バックアップとしてのPDFファイルを同時に提出することを認めています*2。ただし、DOCXファイルとともにPDFファイルを同時提出する出願形式は、EFS-Webでは利用ができず、Patent Centerでのみ利用可能です。この運用も、米国特許商標庁が、Patent Centerにシステムを集約させようという動きの一環です。
弊社では、現在のDOCX出願の利用状況を調べるべく、複数の米国事務所にヒアリングを行いました。その結果、多いところで、全出願件数の5-10%程度をDOCX形式で出願しているとの米国事務所もありましたが、多くの米国事務所からは、「現時点ではDOCX形式の出願をトレーニングしている段階で、実際にDOCX形式で出願した件数はないか、またはわずかである」との回答でした。
2023年1月1日に向けて、各米国事務所においても、DOCX形式での出願も増えてくるものと想定されますが、上述した通り、現時点での利用割合はまだまだ少ないのが実情のようです。