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2022.07.22

商標部 関口

【商標ニュース】メタバースでの商標保護 韓国、欧州連合で指針

昨今、その言葉を耳目にする機会も増えている「メタバース=仮想空間」ですが、仮想空間内での商標の使用・保護の方針については、各国とも模索を続けている状況と言えます。その中で、韓国、欧州連合(EU)において、仮想商品の国際分類における区分等に関する指針が示され、各国の商標実務者から、注目を集めています。

韓国
韓国特許庁は、他国に先んじて仮想商品審査指針を策定し、公表しました。2022年7月14日付で施行となっており、同指針に従った出願が既に受理されています。

注目すべき点は、これまでの現実の商品に加え、仮想空間における商品を直接指定することができるようになったこと、そして、現実の商品と、仮想空間における商品は、原則非類似と判断されることが挙げられます。例えば、現実の商品としてのスニーカーは、運動靴として、国際分類25類に属しますが、仮想空間におけるスニーカーは、仮想靴として、コンピュータプログラム等が含まれる国際分類9類に属し、非類似とされます。周知著名性を獲得した商標に対する例外は想定されるものの、これまで登録してきた現実の商品に対する商標権は、残念ながら仮想空間には及ばないことになり、権利行使や後願排除の根拠とは、ならなくなります。

ついては、いずれの権利者も「自社商品の仮想版」を指定して急ぎ出願し、権利化することが肝要と言えます。尚、韓国では、マドプロルートでの商標出願も可能ですが、新しく韓国のみで認められる商品記述と、基礎となる本国出願/登録における商品記述との整合性を鑑みた場合、各国ルートでの出願が無難と言えるかもしれません。

欧州連合
EUIPOは、2023年のガイドライン発表に向け、準備を進めています。その一環で、2022年6月23日に、仮想商品(virtual goods) 並びに NFTs(非代替性トークン = Non Fungible Tokens)に関する商標出願における指定商品の記載方法について指針を発表しました。仮想商品は、デジタルコンテンツまたはイメージとして取り扱われるため国際分類9類に属すべきであるとし、韓国と同様の考えです。単なる「仮想商品」という記載は認められず、「ダウンロード可能な仮想衣服」等の詳細記述が求められます。

NFTs については、ニース国際分類第12版において「ダウンロード可能な、NFTsによって証明されたデジタルファイル (downloadable digital files authenticated by non-fungible tokens)」が9類に区分されています。EUIPOとしては、「non fungible tokens」単独では認めないとしており、NFTs によって証明されたデジタルアイテム/ファイルの具体的種類を明記しなければならないとの規定です。尚、仮想商品やNFTsに関するサービス(役務)は、従来通りのサービスのクラスに沿って分類されると考えられています。

EUIPOの指針については、今年10月3日までに関係者からの意見、コメントが寄せられ、更に検討される見込みです。韓国のような、具体的な類似判断基準等は、まだ示されていません。

NGB商標部では、各国におけるメタバースでの商標保護について、引き続き情報を収集して参ります。

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