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2022.08.25
特許部 石川 精規
2022年6月3日、米国特許商標庁(USPTO)は、温室効果ガスの排出削減に係る特許出願の審査を迅速化するための気候変動緩和パイロットプログラム(Climate Change Mitigation Pilot Program)を発表しました。
本パイロットプログラムの対象となる出願には特別なステータスが付与され、第一回実体審査が完了するまで優先的に審査されます。なお、本パイロットプログラムについては、37 CFR 1.102(d)に基づく請願書(petition to make special)に係る手数料は免除されます。すなわち、追加手数料は不要です。
USPTOは、下記(1)または(2)のいずれか早い方まで、本パイロットプログラムの申請を受理します。
(1) 2023年6月5日まで
(2) 本パイロットプログラムに基づいて特別なステータスが付与された出願が1000件に達するまで
本パイロットプログラムの対象となる出願は、特に次の要件を満たしている必要があります。
・温室効果ガスの排出を削減することにより気候変動を緩和する製品またはプロセスに関する一つ以上のクレームを含む特許出願であること
・出願にあたり、明細書・請求項・要約書がDOCXフォーマットにてPatent Centerを使用して電子的に提出されていること
・出願と同時あるいは出願から30日以内に、特定のフォーム(PTO/SB/457)による請願書(petition to make special)がPatent Centerを使用して電子的に提出されていること
対象となる出願種別は、通常出願のほか、PCT出願の米国国内段階移行出願、各種派生出願(PCT出願からのバイパス継続出願、継続出願、分割出願、CIP出願)を含みます。但し、先行する2以上の米国出願あるいは米国指定を含むPCT出願の出願日を享受する派生出願は本パイロットプログラムの適用を受けられません。一方、先行する2以上の仮出願の優先権や2以上の外国出願の優先権の主張は本パイロットプログラムの適用を妨げるものではありません。
なお、請願書提出時点のみならず、請願書提出後の出願係属期間全体にわたり、クレーム超過費用の対象となるクレーム構成(3項を超える独立クレーム、20項を超える総クレーム、マルチ従属クレーム)を導入しないことが求められます。
また、発明者および共同発明者(以下、発明者等)が、請願書が提出された4以上の出願で既に発明者等となっている場合、請願書は提出できません。
(参考)
・USPTO announces launch of Climate Change Mitigation Pilot Program
・Federal Register / Vol. 87, No. 107 / Friday, June 3, 2022 / Notices