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2023.02.21

特許部 寺岡裕芳、梶本陽子

【特許・意匠ニュース】ベトナム、知的財産の改正法が2023年1月1日より施行

2022年6月16日にベトナム国会で可決された知的財産の改正法が2023年1月1日より施行されました。この改正法は、特許、意匠、商標、著作権に広く及ぶものとなりますが、農薬の試験データ保護に関する条項については、2024年1月14日に施行される予定です。
特許に関する改正内容は、下記の12項目となります。

1. 発明の新規性についての規定の改正
2. 発明の登録資格に関する規定の追加
3. 「秘密発明」の定義の補足
4. 外国出願前の発明の安全管理に関する規定の補足
5. 付与された特許権の無効に関するいくつかの規定の修正と補足
6. 特許出願の一般的な要件に関する規定の補足
7. 異議申立制度の導入
8. 特許出願の審査に関する規定の補足
9. 特許出願の拒絶理由、無効理由に関する規定の補足
10. 医薬品の承認遅延による特許権者への補償に関する規定の追加
11. 特許権の強制実施許諾に関する規定の補足
12. 特許権の強制実施許諾に係る補償に関する規定の改正

これら12項目のうち、実務に影響する主な点について以下にまとめます。

1. 発明の新規性についての規定の改正
今回の改正により、60条1項にいわゆる拡大先願の規定が追加され、当該出願の出願日または優先日よりも前に出願されて後に公開となった他の出願に基づき、当該出願の新規性が否定されることとなりました。

4. 外国出願前の発明の安全管理に関する規定の補足
今回の改正により、89a条が追加され、ベトナムで創作された発明について、その登録をする権利がベトナムに永住するベトナム人等に属する場合であって、国防および安全保障に影響を与える技術分野の発明である場合、第一国出願義務があることが規定されました。詳細については別途規定される予定です。

7. 異議申立制度の導入
旧法では、特許出願の公開日から特許査定の前までに、登録とすべきか否かについて、第三者が意見を述べることができると112条に規定されていて、いわゆる第三者情報提供の仕組みがありました。今回の改正により、新たに異議申立の手続きの規定が追加されました。異議申立の期間は、公開日から9か月以内であって特許査定の前までとなります。手続きの詳細については、別途ガイドラインが出て定まる予定です。

9. 特許出願の拒絶理由、無効理由に関する規定の補足
旧法では、以下の3つの場合について拒絶されると規定されていました。
・出願が発明の保護要件を完全に満たしていない場合
・出願が先出願主義の原則を満たしていない場合
・同一出願日を有する同一発明について、いずれかの出願を特許付与することについて全ての出願人の同意が得られない場合
今回の改正により、以下の6つの場合について拒絶、無効の規定が追加されました。
・出願人に発明を取得する権利がないか譲渡されていない場合
・補正により権利範囲が出願時の開示を逸脱する場合あるいは出願において主題を変更する場合
・特許付与された発明が出願時の開示を逸脱している場合
・発明が当業者に実施できる程度に十分且つ明確に開示されていない場合
・遺伝子リソースまたはその伝統的知識の起源を正確に開示していない場合
・発明が安全管理の規定に反して出願されている場合

(参考)
・情報源:Ageless事務所(ハノイ)
12 aspects of patent in Vietnam amended IP Law 2022 – Agless IP (ageless.com.vn)
・独立行政法人国際協力機構、ベトナム知的財産法改正法(日本語)
https://www.jica.go.jp/project/vietnam/059/materials/index.html

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