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- 通達・運用変更
2023.07.19
特許部 木下遼祐
2023年7月7日トルコ政府は、翌日(2023年7月8日)より特許出願手続等を含む全ての公費を50%値上げすることを発表しました。また、同年7月10日より様々な商品やサービスに課せられる18%の付加価値税(VAT, Value Added Tax)を20%に引き上げることも発表しました。この税は、トルコ出願の出願代理人の料金にも課せられます。
これにより、例えばサーチ・審査請求を含めた特許出願に係る庁費用について4,680 TRY値上がりすることになります(値上げ前: 9,360 TRY)。
ただ実際の負担額に目を向けると、近年のトルコリラ急落の影響により2020年に1 TRY = 約13~18円だったのが2023年7月12日現在では1 TRY = 約5.3円まで下がっています。
そのため、上記特許出願に係る庁費用で言いますと、円換算での値上がり幅は約25,000円となります。
トルコで特許を取得するにはEP特許の有効化手続きを行う方法も挙げられます。
しかし、上記為替の現状を鑑みても、もしトルコでのみ特許取得を想定しているという事であれば、値上りがあったとは言え直接トルコに移行・出願した方が、トータルの費用はEP経由より抑えられると考えられます。
なお、2021年の日本からトルコ特許庁への特許出願件数は575件であり、外国出願人の中ではスイスに次いで第5位となっています(第1位はドイツの1,831件)。
(参考)
・トルコ政府の発表(2022年7月7日付)
https://www.resmigazete.gov.tr/eskiler/2023/07/20230707-9.pdf
https://www.resmigazete.gov.tr/eskiler/2023/07/20230707-11.pdf
・トルコ特許庁の発表(2022年7月10日付)
https://www.turkpatent.gov.tr/duyurular/epats-uzerinden-tahsil-edilen-ucretlere-iliskin-guncelleme
・トルコ特許庁統計
https://www.turkpatent.gov.tr/patent-istatistik
木下 遼祐
大学院博士前期課程修了の後、日本技術貿易(現NGB)に入社。薬科学修士。入社以来、化学・製薬・食品分野を中心とした外国特許出願をサポート。
外国特許について権利化から他社特許対応まで幅広く対応。各国の実務に関する情報収集・発信で顧客の知財活動支援も行う。