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2023.08.17

特許部 張 華威

【特許・意匠ニュース】中国知財局が2022年度報告書を発表 ~専利出願件数は微増であるのに対し、商標出願件数は減少~

中国国家知的財産権局(以下、「CNIPA」という)は「国家知識産権局2022年度報告」を公表し、2022年度(1月~12月)における専利(特許、実用新案、意匠を含む、以下同じ)、商標、地理的表示、集積回路配置設計に関する出願統計データを開示した。統計データの内容及び筆者の見解を以下に示す。

1.特許出願件数は161.9万件(対前年比2.1%増)であった。このうち、中国出願人(外国資本の現地法人を含む)による特許出願は146.5万件(対前年比2.6%増)であり、全体の90.4%を占める。外国出願人による特許出願は15.5万件(対前年比2%減)であり、全体の9.6%を占める。なお、日本出願人(中国現地子会社を含まず。以下同じ。)による特許出願件数は45,259件(対前年比3.7%減)であり、依然として諸外国の中で首位を維持しているものの、出願件数が減少傾向になっている。これに対し、米国は43,090件(対前年比1.9%増)と日本出願人には及ばなかったものの、上昇傾向を維持している。

2.実用新案出願件数は295.1万件(対前年比3.5%増)であった。補助金が廃止され、非正常出願の取締が強化されていることに加え、特許と実用新案の併願の場合において特許出願を4年間処理しないという知財局の方針などの原因により、昨年度は微減したが、依然として権利化が早く、出願コストが安いなどのメリットがある。

3.意匠権の出願件数は79.5万件(対前年比1.4%減)であり、ほぼ横ばいとなった。専利法第4次改正では部分意匠制度が創設され、意匠の国内優先権が認められ(特許・実用新案を基礎とすることも可能である見込み)、存続期間も延長され意匠権を出願するメリットが大きくなった。2023年1月に専利法改正の経過措置が更新され、実施細則が施行されていない状況で部分意匠の審査を始めることとしたため、今後の動向が注目される。また、2022年5月5日にハーグ協定が発効し、2022年に中国知財局が受理した国際登録出願は1286件であり、中国へ移行した国際意匠出願件数は607件であった。

4.PCT国際特許出願の受理件数は7.4万件(対前年比1.4%増)であり、前年より微増した。そのうち、中国出願人(日本企業の中国現地法人を含む)の出願件数は6.9万件(対前年比1.1%増)であり、中国企業による海外進出の動きがあることがうかがえる。

5.専利の復審(拒絶査定不服審判)の請求件数は10.5万件(対前年比38.1%増)であり、平均審理期間は17.2か月であった。復審の審決のうち、48.8%が拒絶査定を取消し、51.2%が拒絶査定を維持(復審請求による取下げ及びみなし取下げを含む)した。

6.専利無効審判の請求件数は7,095件(対前年比7.0%減)、既済件数は7,879件(対前年比11.5%増)で、平均審理期間は5.7月であった。特許無効審判の審決のうち、全部無効が27.9%、一部無効が15.4%、全部有効(請求棄却、請求人による取下げ、みなし取下げを含む)は56.7%であった。実用新案無効審判の結果のうち、全部無効が41.4%、一部無効が18.7%、全部有効が39.9%であった。意匠無効審判のうち、全部無効が53.8%、一部無効が1.4%、全部有効が44.8%であった。

7.商標出願受理件数は751.6万件(対前年比20.5%減)であり、大幅に減少した。使用を目的としない悪意出願に対する取り締まりが厳しくなったことが主要な原因だと思われる。商標登録件数も617.7万件(対前年比20.2%減)であり、同様に大幅な減少となった。平均審査期間は4か月に安定している。審査の登録率(マドプロ国際出願のうち中国を指定するものを除く)は仮審査認定が52.0%、一部拒絶率が14.4%、全部拒絶が33.6%であった。

8.商標異議申立の請求件数は14.6万件(対前年比17.2%減)、既済件数は14.6万件で、審理期間は2.5か月以内を維持している。異議申立の審決のうち、全部認容審決が45.1%、一部認容審決が11.8%、全部棄却審決が43.1%であり、悪意商標出願を抑止できているといえよう。

9.商標拒絶復審(拒絶査定不服審判)の請求件数は33.2万件であり、商標無効審判の請求件数は7.1万件であった。商標無効における全部無効は62.1%、一部無効は12.9%で、全部有効は25%であった。

10.マドリッドプロトコルに基づく国際商標出願の出願件数は5,827件で、中国を指定する国際商標出願は2.5万件で、ほぼ横ばいとなった。中国を指定する国際商標出願の審理期間は4か月で安定している。

11.地理的表示については、9件の地理的表示製品保護申請があり、514件の地理的表示に関する団体商標・証明商標(対前年比7.8%増)が登録となった。

12.集積回路配置設計の出願件数は1.4万件(対前年比29.2%減)、登録件数は9106件(対前年比30.4%減)で、大幅な減少となった。

以上

参考

https://www.cnipa.gov.cn/module/download/down.jsp?i_ID=185538&colID=3249

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