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2023.10.06
特許部 中辻啓
2023年8月23日、ベトナム政府は、2023年1月1日に改正されたベトナム知的財産法に関する規則を含む政令(Decree 65/2023/ND-CP)を発表した。
本稿では、工業意匠に関して明確化されたポイントを3つ紹介する。
1. ハーグ出願の取り扱い
改正法では第三者の意見提出の仕組みが導入されている。 ベトナムを指定したハーグ国際出願の場合には、第三者は、ベトナム知的財産庁が出願を許可可能と判断した場合に発行される許可決定までに、異議申し立てという形で意見書を提出できる。なお、この書面は知的財産庁の参考用であり、知的財産庁はこれについて見解を準備することを求められない。
優先権証明書に関し、WIPOサイトでは、知的財産庁は優先権期間中の開示に関して新規性を確認する際には優先権証明書の提出を求めることができると説明されている。しかし、今回の政令はこれと異なり、国際事務局が知的財産庁にベトナム指定の国際出願を通知した日から3か月以内(公開日から3か月)に全ての出願について優先権証明書の提出を求めている。 期間内に提出しない場合には、優先権主張が取り下げられたものとみなされる。
2. 公開日の延期
改正法では、出願人の出願時の申し立てにより、意匠出願の公開を出願日から最長7か月まで遅らせることが可能である。この点の実務については政令には依然として明確化されておらず、今後のさらなる通達がされる予定である。
なお、WIPOサイトに説明があるように、ベトナムを指定したハーグ国際出願について、公開延期のオプションは認めれていない。
3. 意匠の説明
以前の規則では、「意匠の説明」および「クレーム」を記載した説明書が求められていたが、「意匠の説明」については、「意匠の外観を形成する必須な特徴リスト」と変更され、「クレーム」は必須ではなくなった。
なお、WIPOサイトに説明があるように、ベトナムを指定したハーグ国際出願については、クレームは依然提出が求められる。
(参考)
・INVESTIP事務所ニュースレター(2023年9月7日付)
VIETNAM – Decree No. 65/2023/ND-CP issued with changed/additional provisions of the IP system
・NGB知財ニュース(2022年12月13日付)
【特許・意匠ニュース】 ベトナム知的財産法の改正における意匠出願への影響
https://www.ngb.co.jp/resource/news/4412/