IP NEWS知財ニュース

  • 中国
  • 知財情報

2024.06.25

張 華威

中国最高人民法院が2023年度知財訴訟統計報告書を発表~専利と商標の民事訴訟は共に大幅増加~

NGB株式会社 アドバイザー
中国弁護士・中国弁理士・日本付記弁理士
張 華威

2024年4月22日、中国最高人民法院は記者会見を開催し、「中国法院知的財産司法保護状況(2023年)」(以下「白書」という)を発表した。「白書」によれば、2023年の全国人民法院の各種知的財産関連事件(第一審,第二審,再審を含む)の新受件数は544,126件(対前年比3.41%増)であり、既済件数(前年からの繰越事件を含む、以下同じ)は544,112件(対前年比0.13%増)であり、緩やかな増加傾向を見せた。
全国裁判所の民事第一審事件の新受件数と既済件数はそれぞれ462,176件(対前年比5.4%増)と460,306件(対前年比0.55%増)であった。上記新受件数の内訳は以下のとおりである。
* 専利(特許権、実用新案権、意匠権を含む)は44,711件(対前年比14.73%増)
* 商標は131,429件(対前年比16.85%増)
* 著作権は251,687件(対前年比1.57%減)
* 技術契約は6,492件(対前年比53.19%増)
* 競争関連民事事件は10,230件(対前年比8.97%増)
* その他知的財産民事紛争事件17,627件(対前年比0.51%減)

上記統計データを示すグラフは以下のとおりである。

2023年は、著作権にかかる訴訟件数の微減であったものの、全般的に増加傾向となった。知的財産権関連事件のうち、著作権が占める割合が多きいため、全体的には微増という結果となっているが、専利及び商標の民事事件は大幅に増加している。
商標については、悪意出願への取り締まりが厳しくなったことを受け、出願件数は大幅に減少しているにもかかわらず、訴訟件数は2022年に減少した件数を上回る増加件数となり、15%以上もの増加率を記録した。

このような状況の中、最近は中国における訴訟、行政摘発、侵害調査、証拠収集、鑑定等についての需要が高まっている。弊社では、中国の公証役場を利用した防衛公開の証拠保存サービスや、中国で圧倒的なシェアを有するトラステッド・タイムスタンプ(中国名「可信时间戳®」)の日本語版プラットホームも提供している(https://jp.tsa.cn/)。当該プラットホームは、2024年にアップデートされ、ウェブブラウザ上で電子データに対してタイムスタンプを付与する従来型のサービスに加えて、URLに基づくウェブ版の機能も追加され、実用性が大幅に向上した。これらのサービスに関するお問い合わせはこちら

以上

関連記事

お役立ち資料
メールマガジン