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2024.07.01

商標部 関口

【商標ニュース】カナダ 商標局が商品・役務の分類指定サポート開始

カナダ商標局は、2024年5月28日付公式ニュースメールにて、ニース分類の商品・役務分類が付与されていない新商標法施行以前の商標登録について、商品・役務の分類を提案する「事前評価書 (Pre-Assessment Letter)」の発行を試験的に開始すると告知しました。発行開始日は2024年5月30日です。

カナダでは、2019年6月17日の新商標法施行に伴いニース分類制度が採用されましたが、それ以前の登録は分類指定がなく、商品・役務記述が羅列するのみの登録となっていました。新法施行以来、商品・役務未分類の商標登録は、更新前に分類指定をする必要が生じたため、商標実務者の負担になるとともに、更新審査の遅延にも影響していました。この度の施策は、そのような状況を打開するためと言えるでしょう。

試験運用での事前評価書は、更新期限まで1年程度残した登録が対象で、AI(人口知能)が自動的に商品・役務記述に分類を振る初期分析を行い、審査官がレビューして正確性を確認できた件のみ、発行となります。将来的な本番運用では、すべての未分類登録に対し、AI分析のみで発行することを目指しています。原則として、各商標登録の管理代理人宛に送付されますが、管理代理人が設定されていない登録の場合、出願人に直接送付されることもあるようです。また、カナダ政府のウェブサイト (Canadian Trademarks Database)での検索により、登録毎に事前評価書が発行されているか確認することも可能です。

事前評価書に従った分類指定を行えば、そのまま更新が認可される運用となる見込みです。一方、事前評価書の提案と異なるクラス指定の申請も可能ですが、認可されない可能性もあるため、現地代理人と対応を検討すべきでしょう。

現在の試験運用から、審査官のレビューなしでAI分析のみによる全件発行とする本番運用への移行には、まだまだ時間を要する見込みです。しかしながら、事前評価書発行告知のニュースメールでは「~最高の商標局を目指して進む (~move towards becoming a premier Trademarks Office) 」と謳われており、カナダ商標局の並々ならぬ意気込みが感じられます。
情報提供 SMART & BIGGAR 事務所 (CA)

Canadian Trademarks Databaseリンク(Search – Canadian Trademarks Database – Intellectual property and copyright – Canadian Intellectual Property Office – Innovation, Science and Economic Development Canada)

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