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2024.10.02

特許部 木下遼祐

【特許・意匠ニュース】 USPTO、特許期間調整の計算ソフトにコーディングエラーを発見

※2024/10/11追記:本記事の公開当初、第五段落において「なお、期限を超えての請求や、A delay及びOverlap期間以外に関する理由での請求には費用が発生しますのでご留意ください。」と記載していました。この点、正しくは、費用の要否に関わらず期限を超えての請求は認められていませんので、上記記載を修正しました。

2024年9月25日、USPTOは特許期間調整(Patent Term Adjustment, 以下PTA)の計算に使用するソフトウェアにコーディングエラーが発見されたことを発表しました。現在、エラーは修復されています。

本エラーにより、35 U.S.C. 154(b)(1)(A)の遅延(A delay)と35 U.S.C. 154(b)(2)(A)の重複期間(Overlap期間)の計算が誤っていた可能性があります。

USPTOは、2024年3月19日から2024年7月30日に発行された特許の約1%が影響を受けた可能性があると推定しています。

PTAの再考請求は、特許発行日から2か月以内(5か月延長可)に行うことが可能です。また、A delay及びOverlap期間に関する計算のみを理由に再考を請求する場合、5か月分の延長費用を含め庁費用は無料となります。つまり、特許発行日から実質7か月以内に、無料で、PTAの再考を請求することが可能です。
例えば、2024年3月19日に発行された特許については、A delay及びOverlap期間に関する計算のみの理由であれば、2024年10月19日まで無料で再考を請求できます。

なお、期限を超えての請求はできず、A delay及びOverlap期間以外に関する理由での請求には費用が発生しますのでご留意ください。また、無料となるためには、請求に際し2024年9月25日付のUSPTOの通知に言及すべき点にご留意ください。

このニュースは、特に、医薬品に係るパテントホルダーにとってインパクトがあるものと思われます。
2024年3月19日から2024年7月30日に発行された重要な特許については、PTAの見直しをお勧めします。

(参考)
・USPTOの通知(2024年9月25日付)
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/og-pta-software-error.pdf
・35 U.S.C. 154
https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/mpep-9015-appx-l.html#d0e303482

木下 遼祐
大学院博士前期課程修了の後、日本技術貿易(現NGB)株式会社に入社。修士(薬科学)。入社以来、化学・製薬・食品分野を中心とした外国特許出願をサポート。外国特許について権利化から他社特許対応まで幅広く対応。各国実務に関する情報収集・発信で顧客の知財活動支援も行う。

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