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2025.02.07

商標部 関口

【商標ニュース】カナダ商標 職権による不使用取消請求のパイロットプロジェクト開始

カナダ知的財産局(CIPO)は、2025年1月より、登録商標権者に対する職権による不使用取消請求をパイロットプロジェクトとして開始しました。

カナダでは、登録から3年を経過した商標は不使用取消請求の対象となります。カナダ商標法第45条に基づく手続きであるため、一般的に「セクション45手続き」として知られるカナダの不使用取消請求ですが、2019年のカナダ商標法改正以来、第三者のみならず、CIPOにも独自に提起する裁量権が与えられていました。しかしながら、これまで実際の職権発動はなく、専ら第三者提起による不使用取消請求のみが報告されていました。

CIPOがこのパイロットプロジェクトを開始した背景には、実際に使用されていないにも関わらず登録が維持されている、所謂デッドウッド(役立たず、枯れ木)商標を一掃する目的があります。新規にブランドを創成し、新しい商標登録取得を目する企業の障害をなくしていくこと、それによって、使用されている商標のみが正しい指定商品・役務にて維持されている健全な登録簿となるべきとする CIPO の姿勢を反映したプロジェクトです。

登録後3年を経過した商標から、指定商品・役務の個数、文字数等関係なく、まったくの無作為に抽出された登録の権利者に対し、セクション45手続きの通知が、登録された代理人宛に送付されます。尚、マドプロ登録のカナダ指定で、カナダ代理人が選任されていない場合は、権利者に直接送付されます。通知受領以後は、これまでの不使用取消請求と同じ手続きにて進められ、使用を立証できなかった範囲で取消となります。

CIPOの発表では、2025年1月には100件の職権によるセクション45手続きの通知が送付され、2月、3月はそれぞれ50件送付される予定です。以降の通知件数は未定ですが、このパイロットプロジェクトが進められるにつれて、各種統計がとられ一般に公開される予定であり、プロジェクト継続の是非等が検討されることになります。弊社としましても、動向を注視してまいります。

情報提供 Smart & Biggar 事務所 (CA)

CIPO 発表 Pilot project on the Registrar-initiated section 45 expungement proceeding

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