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2024.1.17
商標部 金子
【セミナー開催報告】アフリカ商標セミナー [2023年11月]
2023年11月10日(金)に大阪会場で、2023年11月17日(金)に東京会場で、アフリカ商標セミナーを開催いたしました。講師として、Spoor & Fisher 事務所のJennifer Colantoni氏(ジャージーオフィス所属弁護士、Director)と Paul Ramara氏(南アフリカオフィス所属弁護士、Partner)をお招きし、2会場合計で約60名のお客様にご参加いただきました。Spoor & Fisher 事務所はアフリカ・カリブ海地域で100年以上にわたり知的財産関連業務を行っており、各国の商標案件にも幅広く対応しています。また、両氏はアフリカ商標制度・実務、さらには模倣品対応にも精通し、豊富な経験があります。
まず、弊社商標部の本田より、アフリカ諸国における商標出願動向のデータ分析結果をご紹介いたしました。アフリカ諸国での出願件数推移や出願件数上位国の情報をはじめ、出願人の国籍や出願企業のデータを概観し、世界各国の様々な出願人(企業)が商標出願を行なっているアフリカ地域のマーケットとしての存在感が改めて明らかになりました。
続いて、Spoor&Fisher事務所の両講師、および、弊社商標部スタッフによる、アフリカ商標レクチャーを行いました。59の地域があり、10億人の人口を有しているアフリカ地域ですが、セミナーでは特に注目すべきアフリカ諸国(南アフリカ、ナイジェリア、ケニア等)の各国の概説、出願・審査状況、国により注意を要する制度・手続、権利行使、権利維持、模倣品対策、税関対応について、実務上の知見を交えた形で解説を行いました。
概説パートでは、アフリカ各国における経済成長、市場規模の拡大、インフラ整備の進展によりビジネスチャンスが拡大していることをご説明し、今後ますます高まるアフリカでの商標出願の重要性が浮き彫りとなりました。各国で注目すべきビジネス分野のご紹介やアフリカにおける年齢中央値の低さ等、具体的テーマについての詳説を行い、なぜアフリカでの新規商標出願のモチベーションが高まっているのか、多面的に解説いたしました。
続いて、アフリカでの商標出願に関する全般的な注意点、国ごとの特徴、さらには各国庁の電子化の状況や業務改革についてご紹介しました。冒頭の概説ではアフリカ諸国における商標出願の重要性にフォーカスしてまいりましたが、アフリカ諸国での審査の実情や庁内部の情報も多くの出願人(企業)の関心を集めるトピックです。たとえば、エジプト、ガーナ、ケニア等の国ではデータベースを構築しており、電子化に向けた取り組みが進行中です。一方で、依然として審査や登録時期の遅延が見込まれる国も多く、先進国での商標出願に比べ、ケースバイケースの状況に対応できる知見とコネクションが求められる、というのは引き続き留意すべき点だといえます。
セミナーの後半では、各国での権利行使や模倣品対策に焦点を当てたレクチャーを行いました。ここで重要となるのは、やはり、アフリカの多くの国で登録商標が権利行使や税関登録を可能とし、外部への抑止力を発揮するということです。また、喫緊の課題として、ケニアACA登録に関するトピックも取り上げました。ケニアに商品を輸入する知的財産権者は、商品に関連する知的財産権を模倣品取締庁(ACA)に登録することが義務付けられることとなり、弊社でも多数の対応実績がございます。ACA登録については会場でも多くのお客様よりその現状を懸念しているとのお声が上がりました。現在、オンライン申請自体は完了しても、システムポータルの不具合や人員不足の理由で申請登録完了の証書が発行されない状況が一年以上も続いております。現地の状況は予測が困難であるため、ケニアに製品を輸出されているもののACA申請をお済ませでないというお客様にはやはり早めの申請をおすすめします。なお、ケニアにおけるACA登録のような制度を他のアフリカ諸国で取り入れる動きは、いまのところ無いということです。
※ACA登録については依然として不透明な状況が続いているものの、セミナー開催後に保留中の案件が断続的に数件単位で処理されているという情報もございました。弊社では引き続き最新情報の取得に努めてまいります。
本稿では実際のセミナー内容における要点を抜粋してご紹介いたしました。この場をお借りして、セミナーにご参加いただきました皆様に改めて御礼申し上げます。NGB商標部では、今後も、お客様のご興味にお応えするセミナーを企画・開催する予定でございます。セミナーについてのご要望等がございましたら、ぜひお問合せフォームよりご連絡いただきますようお願い申し上げます。また、アフリカ諸国以外含め、一般的には情報収集が難しい国々に関するお悩みやご相談にも随時対応いたします。細かなことから一般的なことまで、何なりとご用命いただきますと幸いです。